当ブログに足を運んで頂きありがとうございます。引字佳祐です。
私と両親の家はそんなに遠く無い位置にある。両親は高齢なので一緒に暮らそうと言うと「迷惑かけたくね」と拒まれてしまう。ある日、父は体調を崩して入院する事になった。家族でお見舞いに行くといつもと変わらない元気そうな表情で長女や次男の頭を撫でながら接している。私と両親だけになった時、父がトイレに行くと私の手をかりて寄り添う。私が幼い時に見た父は全部が大きく見えた、しかし今の父は真逆で細く軽くなっていた。父は「いかんな・・・。歳を取るのが嫌になってきてしまった・・・。」私はそれを聞くと不安な顔をする。父は「孫達が一人前になるまで頑張るからな」とガハガハと笑う。私は「無理はしないでよ?」父は言う「無理か、もうしとらんよ。お前をここまで育てたから、無理なんてしとらん。」するとその後、いつも通り私に色々と子育てやら仕事話の小言が始まる。私は小言のほとんどを当たり前のように聞き流すが、いつもの元気な父を確認ができるので聞けて安心をする。
お見舞いが終わり、私の車まで見送る母。孫たちに「また来てね」と声を掛けて車が動き始め子供達が母に手を振り、母も手を振り返す。子供達は正面を向き貰ったお菓子を食べ始める。母は小さくなって行くが、まだ右手を動かしていたのが分かった。私はそれを見て大きく溜め息をつく。
そして先日、母が父の体調が回復して来月には退院できそうと私に一報があった。その時に私は母に「少し落ち着いたんなら、こっちに遊びに来なよ」母は渋ったが、父の様子を見に病院に行く以外は一人で家にいると大体想像が出来ている。こうして半ば強引に母を自宅に呼んだ。
妻は小学生の時に母親を亡くした為か私の母と過ごす事を楽しんでいる姿を見て安心をした。母も楽しそうに過ごした。次男が歯磨きを拒んだ時、母は次男に「歯が無くなると怖い話」をした。この話は私の幼い記憶にある話です。歯を磨かないと歯が溶け出して、ご飯がやお菓子が食べれなくなって、皆とお話が出来なくなるという内容だ。次男は素直にいう事を聞いて妻に歯磨きをしてもらう。
次男がベットに入り、眠る前に狸のぬいぐるみに「歯を磨かないと、ご飯とお菓子が食べれなくなって、皆とお話が出来なくなっちゃうんだよ。怖いんだよ」と告げる。懐かしくも新しい心境が私に込み上げてくる。私はあの時の父になったんだと。
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