2016年7月19日火曜日

海の思い出

天気が良いと汗ばむ季節になり、外と職場の温度差で気が滅入ってしまいそうです。この時期の角田山にはヤマユリがキレイに咲いております。娘の大好きな花の一つでよくヤマユリを見つけては話しかけています。本日も引字圭祐の晴天日記をご覧頂きありがとうございます。

新潟は現在海開きの時期になりましたので3連休は家族で近くの浜辺で海水浴に行きました。子供達は海水浴では常にはしゃぎ回り大変でした。妻は日に焼けたくない為、ビーチパラソルの外へは出ませんので子供達の面倒は私になります。昨年とは違い少し大きくなった長女は力も強くなり大変でした。

ヘトヘトになりながら帰りの支度をしていると浜辺に学生服を着た男子学生2人が夕日に沈む太陽を見つめ語り合ってます。私はなんだか懐かしくなりました。

中学生の時に仲の良かった友人がいました。その友人とはよく海の浜辺で語り合っていました。クラス仲間の話や教師の話、部活や先輩、恋の話まで内容はあまり変わらない日が続いても何故か毎日のように二人で浜辺に来ては語り合った。今思うと話の内容より居心地が良かったんだと思う。その後、二人は高校で別々になり浜辺には共に通わなくなってしまった。高校卒業前で大学に進学が決まったある日、ふと中学の卒業を思い出した。

私は赴くまま夕方の浜辺に向かった。中学時代のあの頃のように全く変わらない。光景や波の音、潮風の匂い。居心地の良さはその時も感じられた。私は高校の思い出もいつの間にか忘れてしまうのだろうなと思い海を見つめる。

大学に入学後、私は勉学や新しい仲間との出会い等の新生活が始まり、あの浜辺の居心地の良さはまた忘れてしまった。大学を卒業が決まり、私は就職の為に上京する事になった。親元や仲間達の元、故郷を離れて見知らぬ土地で一人で暮らす事になる為、不安な気持ちでした。

私はまた夕日の浜辺に向かった。何も変わる事の無い風景を見ながら過去を振り返る。中学時代、高校時代、大学時代、家族の話に至るまでボーっと波を見つめて振り返る。上京するまで日にちはまだあり、その間は週3以上のペースで浜辺に通う事が続いた。ある日、浜辺で「圭佑?」と私を呼ぶ声が聞こえる。私は振り向くとガラの悪そうな強面の男がそこにいた。私は怯えながら「どなたですか?」と聞くと中学時代によく浜辺で一緒に語り合った友人でした。

イメージが変わり驚きましたが声や仕草は確かに変わらない友人を思い出させます。友人は高校卒業後に就職をして大工をやっていると私に話した。そして、もうすぐ結婚をする為に相手の両親に挨拶をしに行く緊張を和らげる為にこの浜辺を訪れたらしい。私も上京の不安な話をして過去やこれからの話を語り合う。中学時代同様に決して解決や結果を出ることの無い会話をずっと語り合う。だけどそれは苦ではなく居心地が良くて何故か安心や希望が溢れてくる感じがした。

友人は中学卒業後もよくこの浜辺に来ていたらしい。私も卒業したり環境が変わる度にここに訪れていた。そして二人して思った事がある。この居心地の良さは実際には側にはいないが当時のお互いの存在を浜辺の光景や波の音、潮風の匂いで作りだしていたのではないのかと語った。

そして二人は分かれ際に私は「結婚、頑張れよ!」と言うと「そっちも東京になんか負けんなよ!」そしてお互いに「またな!」と中学卒業後最後の浜辺で言った最後の挨拶を同じようにする。

それ以降、私は実家の海には行ってはいない。またその友人の連絡先も分からないまま結婚の結果や今はどういう生活を送っているのかは分かりません。ですが、本人がいなくてもあの浜辺に行けばきっと光景や波の音、潮風の匂いで勇気づけてくれる。そう思っています。

そして現在、新潟の浜辺で語り合う男子学生達もこれから先、我々と同じような場所になる事だと思います。

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